ファーストコンタクト

at Narita Airport世界の国々を回って自分の目で見たい、からだで感じたい、確かめたい。強くそう思い始めたのはここ1年のことだと思う。たびそらというサイトに出会ったのも大きなキッカケのひとつ。思いは募り、いよいよ今回それを実行することにした。

まずはタイ、バンコクへの航空券を手に入れ、あとは特に予定は立てなかった。今回は完全な一人旅。スケジュールに縛られることなく、その時思った通りに行動できる。その場の直感を活かせる旅にしたかったのだ。

旅の指さし会話帳〈1〉タイ ここ以外のどこかへ!タイはあまり英語が通じないらしいので、「旅の指さし会話帳:タイ」を持っていった。この本には挿絵にタイ語とそのカタカナ読みが載っているので英語が通じない相手でも何とかコミュニケーションがとれるはず。早く試してみたくてうずうずしていた。
そして飛行機に搭乗した時のこと。自分の座席は窓際だったのだが、窓側の2列席に夫婦らしき中年のアジア人が先に座っていた。日本語ではない言葉をしゃべっている。こっちは窓際にこだわっていたわけではないので、離れた席になるのもナンだろうと思い、席を交換した。それを機に例の本を使ってみようかと思ったのだが…。

「Are you from Thailand?」

「No, I'm from Laos」

ありゃりゃ、タイ人じゃなくてラオス人だった。ラオスではタイ語が通じると書いてあったので、ラオスの本は買わなかった。試しにタイ語の本を使ってみたけど、あんまり分からないらしい。もしかしたらタイ語の会話は出来ても文字は読めないのかもしれない。

仕方ないので片言の英語で会話してみるも、むこうも英語はたどたどしいし、自分も頭の切り替えが出来てないのか、前ほどスムースに単語が出てこない。お互いに困ったような微妙な空気になってしまった。こんな時は相手の言葉について質問してみるのがいい。ラオスには行くつもりだったし、一番大切な言葉について聞いてみた。

ラオ語でありがとうは何て言うの?」
khwap jai
「こぷぢゃい?なるほど〜。『こぷぢゃい』か!覚えとこ。おばちゃん、こぷぢゃい!」

今回の旅で一番使った言葉は、この『こぷぢゃい』だったと思う。これがラオスとのファーストコンタクトだった。

そして成田を発ってから6時間ほど、飛行機は無事にバンコクドンムアン空港に到着した。タイの大地に足を踏み入れた第一印象は…「なんか汗くさい」(笑)。いや、タイ中が汗くさいわけではないのだが、何故か空港の飛行機と直結する場所だけが汗くさかったのだ。

それはさておき、まずはイミグレーション(入国審査)。深夜0時をまわったところだというのにスゴイ行列。さすが東南アジアのハブ空港だ。到着ロビーも出迎えの人々(と客引き)でごった返していた。

ここドンムアン空港は市街地とは少し離れているので、予約しておいたホテルへの移動手段を見付けなければならない。一番便利で比較的値段も安いエアポートバスはこの時間は運行してないし、24時間運行しているローカルバスは、乗り継がなければならないと分かり断念。不本意ながらタクシーを使うことにした。

ガイドには空港の外から乗った方が50バーツほど安くなると書いてあったが、辺りが暗くてどっちへ行けばいいのか見当も付かない。仕方ないので空港内のタクシー乗り場に向かった。そこでは待ちかまえていた運転手が、タイ訛りの英語で話しかけてきた。
「どこまで行くんだ?」
「カオサンロードまで。」
「それなら350バーツ*1だな。」
ちょっと高い気もしたが、そこにあるタクシーのすべてに「METER」の看板が付いていた。それなら大体350バーツ前後になるんだろう。了承して乗ろうとすると、運転手はタクシー乗り場の案内?の女性となにやら簡単なやりとりをして車に向かった。その時の女性の表情…やれやれ、といった顔だったのを自分は見逃さなかった。やっぱり高かったのかもしれない。結局タクシーはメーターを使わずに、350バーツぴったりでカオサンロードのホテルまで運んでくれたのだった。

*1:1バーツ=約3円:350バーツは約1050円