伝わるもの、伝わらないもの

安田純平さんの講演会に行ってきました。17日の夜のことです。どのくらいの人が覚えているか分かりませんが、去年の4月にイラクで一時拘束されたフリージャーナリストです。
最初に話題になった3人でなくて、そのあとの男性2人の件と言えば思い出す人もいるでしょうか。
http://homepage3.nifty.com/jumpei/
http://www.tokyo-np.co.jp/kousoku/
いろいろな話を聞きましたが、やはり現場に直接行って来た人の話は聞き甲斐がありますね。今のマスコミの報道を見ていても伝わってくることはごく一部だし、どこまでが本当なのか、その背景には何があるのか、わからない。

イラクの西隣にはシリアという国があります。今年の夏、安田さんはシリアへ行き、イラク国境近くの町まで行ってきたそうで、その時の話をしてくれました。
国境線はその昔、住民の事を考えずに引かれたものなので、国境沿いの住民の多くはイラクに親戚や知人がいて当たり前のようです。見える範囲で米軍のヘリが飛んでいたり、煙が上がるのが見えたりすることもあるとか。親戚が米軍の被害に遭ってない人を探すのが難しいくらいで、反米感情は強いようです。ただしこれは国境沿いの町の話で、中心部とはだいぶ温度差があるとの話。
直接の被害もあったようで、米軍の弾丸がその町の少年の命を奪ったという話もしてくれました。民間人を殺したのは国際法違反だとして、家族は米国を相手に訴訟を起こし、裁判は今も続いているそうです。
しかしその事件は国際的にも、シリア国内でもあまり強調されることはないようです。このことが広まれば、反戦世論の後押しをするのは間違いありません。けれどもシリア政府がそれを望んでいないため、広く伝わらないのだとか。
様々な理由を想像することが出来ますが、敢えてそれは書きません。事実として信頼できると思うものだけ記します。

こういう話が既存のマスメディアから伝わってくることはまずありません。マスメディアも人の集まりですし、伝えられる量には限りがあります。伝える必要のあるもの、必要のないものを判断する人間がいるのです。だから自分が本当に知りたいことは、自分で確かめるしかないんですよね…。

そうそう、もしここで安田さんたちが「人質」だったと思っている人がいたら安田さんのサイト等を確認して下さい。彼らは「人質」ではなかったことが分かるはずです。